夏手前

もうすぐきっと夏が来て
あなたと初めて会った季節も　終わるのでしょうね

あなたに会いたいなんて
思っていないと言い聞かせた春は
あなたと居た頃には
同じ窓から桜を見下ろしたわね

空の青色も　森の緑色も
鮮やかで眩しい夏は
あなたと過ごし
暑いとうだるあなたに何度も抱きついてみた

あなたがいない切なさを
一番強く感じてしょうがなかった秋は
２人きりで
止め処なく話を続けたものね

雲がどんよりとして
重く　厚い冬には
あなたと共に
雪を踏みしめ　音をたてつつ歩いた


きっともうすぐ
初めてあなたと会った季節は終わるけれど
もう一回季節が巡れば
どうか　あの場所で
もう一度だけ　昔のようにして
お会いしましょう？
あの頃に戻れるのなら

唯一人

夜毎　私は夢を見る

夢の中には　哀しい旋律と後悔の嘔声

それを纏うはあなただけ

唯一人きりのあなただけ

とても愛しいあなただけ

虹の色

紫色は綺麗な色だと思う
スミレと同じ色
草木の緑に鮮やかで　目を奪われる

藍色は過去の色な気がする
あの頃見慣れていた色
今はもう　とても遠い過去の幻影

青色は辛い色のように感じる
私の中のあなたのイメージの色
もう二度と思い出したくなんてない

緑色は憧れに似ている
あなたに与えたかった色
あんな風になれたらいいなと　どんなに願ったか

黄色は恋焦がれてしまう
輝くような陽の色
その場所でもう一度君に逢えたらと

橙色はあなたとの違いを感じてしまう
私の果たす役目の色
なぜこうも違ってきてしまうのかしら

赤色は魅せられる
白地にはよく映える色
肌に伝うその色の一筋は　ひどく安心するわね


あなたが私の世界から居なくなって
極彩色の世界は　今はもうモノクロ
だからもう　虹なんて見えたって何とも思えないのね

行動。

わかっているわ。
意地を張っているだけだなんて、とうに気付いている。

悔いを残したくないなら、行動すればいい、
なんて言うけれど。
行動したとて、後悔するだけなら、
どうすればいい？

どちらにせよ、”悔”が在るのなら。
ならばやっぱり、行動すればいいのかもしれないけど。
もう遅いわね。
今はもう、一歩も動けないもの。

いつか

あなたと話すのは楽しくて
気づかぬうちに笑っている自分が居るとき
あなたの笑顔が見たくてたまらなくて
これが恋だと知りました

あなたの近くにただいるだけで
沈黙すらも居心地良くなったとき
あなたに一番近しい人になりたくて
愛というものを知りました

いつか
いつか遠いその日に
どうしても抗えない　お別れがくる　その日まで
どうかあなたの傍に　居させてください